そんな人に向けてSP値の計算方法をご紹介していきます。
本記事の信頼性
現在高分子に関わる開発業務に携わっています。
その中で身につけた樹脂の相溶性を数値化する方法であるSP値の計算方法をご紹介します。
本記事では簡易的なFedorsのSP値計算方法をご紹介します。
簡易的と言っても化学業界ではメジャーな計算方法となります。
理由は簡単で、計算しやすく、すぐに相溶性を求めることができるからです。
細かい計算式なんてめんどくさい・・・
アプリで手っ取り早くSP値を計算して、樹脂の相溶性を知りたい人はコチラへどうぞ。
元となる計算式
SP値とは、凝集エネルギー密度の平方根で定義される物性値であり、溶媒の溶解挙動を示す数値です。
Fedorsの計算式はこちら。
R.F.Fedors: Polym. Eng. Sci.14〔2〕, 147-154(1974)
この式にΔeiやΔviを当てはめて、SP値を計算していきます。
計算方法
下記のエポキシ樹脂のSP値を求めていきましょう。
step
1各原子団を数える
原子団、原子にはそれぞれ固有のΔei(蒸発エネルギー)、Δvi(モル体積)があります。
例のトルエンにはCH3が1つ、ベンゼン環が1つ含まれます。
step
2累積和からSP値を求める
それぞれの原子団のΔei,Δviに原子団の数をかけて、原子団の累積和を求めます。
この結果、Δeiは8755、Δviは104.9となりました。
この結果をFedorsの上記式に当てはめると9.14となります。
参考に今回使用した計算式のExcelファイルをコチラに置いておきますので、宜しければ参考にして下さい。
SP値関連の便利情報
- SP値の参考になる資料はこちら
非常にわかりやすい計算の具体例があります(3.1 分子構造から推算する方法)ので、実践でSP値を計算してみるのもおすすめです。
計算が面倒な時はアンドロイドであればアプリで計算できます。
- アンドロイドのSP値計算アプリはこちら
- 樹脂のSP値の測定値情報はこちら
より詳しくSP値の計算方法を知りたい場合は下記参考書をご覧ください。
SP値以外に相溶性を証明したい場合
SP値以外にも相溶性を証明する方法はあります。
例えばHazeが相溶性の指標になります。
Hazeとは樹脂のにごり
Hazeとは光の散乱度合いを示します。
Hazeの高いものは白濁します。これは、樹脂同士の混じりが悪く、界面が無数にできるためです。
屈折率の異なる材料が多数界面を持つ場合に光が色んな方向に屈折し、その結果白濁するようになります。