この記事が参考になる人
- メーカーで高分子を取り扱うので全般の知識を付ける予定
- ラジカル重合、アクリルなど全般の知識を付けたい
- レオロジーについても知識を付けたい
そんな人に向けた参考書を高分子の開発に携わる私がご紹介していきます。
本記事の信頼性
私は、大手化学メーカーに入社し、高分子の接着関連の業務に携わっていました。
現在も転職し、同様に高分子の開発に携わっており、約10年高分子の仕事に携わっています。
これまで仕事の一貫として、50冊以上の参考書を読んできました。
この記事では、この経験を元におすすめの参考書をご紹介していきます。
おすすめの参考書だけ知りたい方は下記です。
高分子の知識はどんなところから付けるべきか
ずばり、ラジカル重合全般とレオロジーの知識は必須です。
私は高分子を使用した接着剤の開発を行っているため、レオロジーの知識はMUSTです。
なぜなら、使用するお客様が求める特性をレオロジーに落とし込み、高分子の設計が必要となるためです。
例えばお客様の要望としては、
- しっかりくっつく接着剤が欲しい
- UV硬化して、きれいに剥離したい
- UV硬化により、しっかりくっつけたい
などこういったものが欲しいという要望が出てきます。
そのために、どういった設計にするかは、レオロジーの知識が必要です。
このレオロジーを理解できていないと、高分子の構造設計の方針が誤った方向にいってしまいます。
参考書では、広く浅く知識をつけることが重要
高分子の知識が全くない人は、広く満遍なく知識を付けていきましょう。
参考書で学習する目的は基礎知識を付けることです。
参考書の性質上、色んな人を対象にして書かれているため、細かい実務に即した話は業務の中で見つけるしかありません。
そのため、参考書はあくまで基礎知識、自分のアイデアの着想を得るものとして捉えます。
実務ベースで、実施可能なのか、自分のアイデアを過去部署内で実施していないか。
ブラッシュアップするきっかけとなり知識=参考書という考えて学習します。
全く知識が無いころは、ざっくり広く知識を付けましょう。
ある程度業務に慣れ、開発目的も理解できた場合は、得体知識にまとを絞り、参考書を探すのがおすすめです。
では、私のおすすめする参考書をご紹介していきます。
レオロジーの参考書3選
高分子にはレオロジーの知識が必須です。
レオロジーとは粘弾性始め、濡れ性(SP値)、表面自由エネルギー、ファンデルワールス力などが挙げられます。
下記の参考書は参考書としては、文量が多くありませんが、必要な知識を網羅しており基礎からの学習でも問題ありません。
いずれも古い参考書になりますが、バランスよく学習できる参考書で、この3つで十分です。
他の参考書は、内容もこの3冊の内容とかぶりますし、内容も難解となっています。
さらに詳しい内容が知りたい場合は、
企業が実施する専門のセミナーや数万単位の参考書を購入することがおすすめです。
SP値などの計算方法については下記のサイトで具体例を挙げながら記載されていますので周辺情報として参考になると思います。↓
- https://nao-tokyo.jp/chemistry/how-to-predict-sp-value-with-fedors-method/
- http://www.diced.jp/~KAZU/sp1.htm
ラジカル重合ならこれだけ
特にアクリル、ポリスチ、ブタジエン系樹脂やラジカル重合、硬化系の樹脂を扱う場合はこちらがおすすめです。
UV硬化の基礎と実践
幅広いラジカル重合、硬化系の内容が含まれており、一冊で満足できる内容です。
その他にも高めの料金設定の参考書もありますが、そういったものよりこちらがおすすめです。
こちらの参考書も初心者からでも十分理解しやすい内容となっております。(もちろん私も購入済み)
上記参考書は、知識が浅い人に向けて記載されています。
開発した製品を利用する顧客は、高分子の知識がない場合が多々ありますので、知識がない人への伝え方の勉強にもなります。
もう少し参考書をご紹介したいところですが、中々わかりやすいものがないためラジカル重合に関しては、この1冊となります。
補足:フィラーの活用知識ならこの1冊
接着剤、高分子には、強度を付与するためにフィラーを活用する場合も多々あります。
そういった場合に活用できる一冊がこちらです。
きちんと知りたい 粒子表面と分散技術
粉体の知識とともに、粉体を液体などに分散させる方法の知識が得られます。
この本はコンパクトにまとまっており、イメージ書かれているため、非常に理解しやすい内容です。
分散させるフィラーの表面処理の方法、分散させるための考え方、物理的に分散させる装置など詳しく書かれています。
補足:エポキシ樹脂、その他熱可塑性樹脂材料
こちらに関しても色んな参考書を漁りましたが、残念ながら特段おすすめできる手に取れる参考書は現状ありません。
実際に材料を触りながら、商社や材料メーカーと議論することが知識を蓄えるには重要です。
参考書一覧
最後におすすめの参考書を整理します。