2022年度版 化学業界の動向

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2022年度版 化学業界の動向

やっさんです。

今日は化学業界の動向について話していきます。

 

筆者の紹介

  • 大学院から新卒で化学メーカーに所属
  • 化学エンジニア10年目
  • 化学メーカーにはこれまで2社所属
  • 現在大手化学メーカー勤務
やっち
私の働く化学業界について説明します

化学業界の動向

化学業界の動向

 

業界注目のトピックは結論から言えば

  • マテリアルズ・インフォマティクス(MI)
  • カーボンニュートラル

この2つにつきます。

 

やっち
何だそれ?

と思う方も多いでのはないでしょうか?

次から詳しく説明していきます!

 

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは

マテリアルズ・インフォマティクスとは統計分析などを活用したインフォマティクス(情報科学)の手法により、材料開発を高効率化する取り組みです。

実験や論文を解析して素材の分子構造や製造方法を予測するなど、デジタル化の進展で膨大なデータをスーパーコンピューターなどの高性能な情報処理装置で操れるようになり、近年、素材分野での応用が広がりつつあります。

「マテリアルズ・インフォマティクス」の活用が加速した背景には、材料科学データベースの整備の進展と大規模化、AI関連技術の急速な発達やスーパーコンピューターの高性能化などがあります。AI関連技術の発達は、過去の実験や論文の解析を通じた素材の分子構造や製造方法の予測を可能としました。AIの中核をなすものが機械学習と呼ばれる統計数理に基づいた技術であり、その機械学習を含む情報処理技術をフルに活用し、材料開発を進めていきます。

「マテリアルズ・インフォマティクス」は、この機械学習に加え、物性理論、実験、シミュレーション、データベース、クラウド、セキュリティー・・・などさまざまな分野の技術により成り立っています。マテリアルズ・インフォマティクスは、材料科学と情報科学の融合分野とも呼ばれ、両分野の技術発展により、その活用が加速しました。スーパーコンピューターの高性能化や材料科学データベースの大規模化などが推進され、膨大なデータを高速で取り扱えるようになった環境がマテリアルズ・インフォマティクスの活用を後押ししたと言えるでしょう。

一方、マテリアルズ・インフォマティクスの取り組みへは各国の政府が積極的に投資する姿勢を見せており、米国オバマ政権時代にはマテリアルズ・インフォマティクスの推進に約2億ドルの予算が投じられました。この動きに続いて欧州、中国でも推進が広がり、日本でも2015年より、物質・材料研究機構(NIMS)を中心としてマテリアルズ・インフォマティクス推進の取り組みが始まりました。今後も注目度の高い分野です。

引用:日立ハイテクソリューションズHP

 

やっち
簡単に言えば、AIで実験を効率化させる取り組みが加速しているってこと!

私は2社のメーカーで働く機会がありましたが、どちらも近年積極的にMIの導入を加速させています。

私の友人も、化学業界に所属していますが、MIの導入が積極的に進められているという話を伺っています。

 

カーボンニュートラルとは

簡単に言えば温室効果ガスをへらす取り組みです。

やっち
そんな温室効果ガスって重要なの?

 

ある研究結果では温室効果ガスがこのまま減らなければ50年以内に人が住めない地域が増えてくるという研究結果が出ています。

温室効果ガスの排出が減らなければ、50年以内に全人類の3分の1が住む場所が、サハラ砂漠の最も高温なところと同じくらい暑くなる、という研究結果を、中国・米国・欧州の研究者からなるチームが、米国科学アカデミー紀要の今週号に発表しました。急速な温暖化は、35億人もの人々が、過去6千年にわたって人類が生存してきた気候適地の外に住むことになることを意味します。

出典:総合地球環境学研究

 

やっち
深刻な問題だ(;´∀`)

色んなメーカー様でカーボンニュートラルの話は伺いますね。

 

脱炭素社会、低エネルギー、リユーズ、リユース、リサイクなどききますよね。

SDGsもカーボンニュートラルに沿った取り組みの指針ですね。

 

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とカーボンニィートラルが脚光を浴びる背景

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とカーボンニィートラルが脚光を浴びる背景

 

 

やっち
カーボンニュートラルは何となくわかるけど詳しく背景を知りたいな

理由は大きく3つあります。

■注目される理由

・売り手の減少による差別化

・環境問題

・働き方改革

 

それでは順に説明していきます。

 

売り手の減少による差別化

日本では少子高齢化がすすんでいます。

そのため、内需としては減少する一方です。

 

その中で企業は生き残りをかけて、海外で利益を確保しなければいけません。

 

日本の化学メーカーがグローバル企業と戦い、

高収益をあげるためには独自の製品を、早く作り先に顧客に提案しなければいけません。

 

化学メーカーは早く製品を作ったり、人では気づけない複雑な

部分をMIで知りたいわけです。

 

環境問題

カーボンニュートラルを進めないと人類が生存できなくなってしまうことから、

世界共通でCo2を始めとする温室効果ガスを減らす取り組みを策定しています。

 

そのため、各企業でも積極的にCo2の削減に取り組んでいます。

 

また、このCo2をへらすために考え出された仕組みの1つにCo2の排出権と呼ばれるものがあります。

やっち
何だそれ?

 

簡単に言うとCo2を排出するなら排出する分お金払ってね。

ということです。

 

そのため、CO2が製品の製造方法の効率化、開発の効率化が必要になります。

やっち

人類存続のためにもカーボンニュートラルが必要!

利益を確保するためにもMIが必要なわけだ!

 

働き方改革

最近言われている働き方改革

 

私も昔を知りませんが、高度経済成長の時などは

馬車馬のように働かされたそうです。

 

しかしながら、近年

  • Quality Of Life(生活の質向上)
  • ブラック企業

などが着目されはじめ、企業としては

働かせたいけど、労働基準を守らなければいけない・・・

 

というわけで、労働時間は減らさねばいけないため、効率を上げる必要が出てきています。

そこでMIを使おうというわけです。

 

やっち
なるふど。複雑な背景があるわけだ・・・

そういうことです。

 

化学業界は今後厳しくなるのか?

化学業界は今後厳しくなるのか?

こんな話ばかりすると

やっち
化学メーカーは大丈夫かよ。。。働き口があるのかよ

と思う方はいるかもしれません。

 

結論から言えば

雇用の面ではまだまだ問題ありませんが、重宝される仕事に偏りがでてくると予想します。

 

重宝される仕事とは

発想する仕事は大丈夫です。

AIやMIが万能なイメージがある方もいますが決してそうではないです。

AI、MIは統計をベースとした機械学習です。

 

つまり、得られた結果から少し拡大した回答しか現状のMIで出すことはできません。

 

例えで考えてみましょう。

接着力の高い接着剤を作りたい時を考えてみます。

 

A,Bの材料を使った結果があれば、MIで出せる結果はAとBの最適な組成比(割合)です。

これがMIやAIの限界です。

 

そのため、A,Bの材料にCという材料を加える発想は現状ではできません。

このように、MIではできない解決策を発想する仕事は今後も求められると思います。

 

とは言え、化学業界に新会社が参入することは莫大な費用もかかる上、技術力も必要になるため、お金の面でも技術の面でも難しいです。

そのため、参入障壁も高く、まだまた安泰な業界といえます。

 

やっち
一抹の不安はあるけど、まだまだ大丈夫そうだね

 

まとめ

 

最後に業界の動向についてまとめます。

 

・マテリアルズインフォマティックス

・カーボニュートラル

が今後脚光をあびます。

MIが加速すると重宝される仕事に偏りは出てくる可能性があるが、まだまだ収益を上げやすい業界であるため心配することはない。

 

化学業界の動向を把握するためのおすすめの方法

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  • この記事を書いた人

やっさん

・化学系メーカーで10年勤務 ・開発職と研究職を経験 ・大学はEラン ・大学院で有名大学にロンダリング ・化学卒関連のメーカー情報を発信中

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